タイトル 「司法試験とは」
筆 者  松本 治(平成13年度司法試験合格)
所 属  元個人特訓教室講師
掲 載  未掲載


司法試験とは
 法律的に言うと、「裁判官、検察官又は弁護士になろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験」です(司法試験法1条1項)。
 司法試験に合格して、1年6ヶ月間司法修習生として研修・修了すると、裁判官・検察官・弁護士になることができます(ただし、弁護士は弁護士登録をすればなれますが、裁判官・検察官になるには採用される必要があります)。

司法試験のシステム
第一次試験
 外国語及び一般教養科目について行われ、受験資格に制限はありません。
 大学に2年以上在学し、所定の単位を取れば免除されますので、実際に受験する人は少なく、いわゆる「司法試験」は、第二次試験のことをさします。

第二次試験
1 短答式試験
 1次試験合格者と免除された者が受験できます。
 5月の第2日曜日(母の日)に行われます。
試験時間は3時間30分。憲法・民法・刑法から各20問ずつの60問。5肢択一のマークシート方式です。
条文や解釈上の論点を素材に、文章の正誤を判断させる問題や、適切な語句を埋めさせる問題などが出されます。中にはパズル的な問題もあります。基本的な知識・論理的思考力と事務処理能力が要求されます。
 (平成13年度は、合格点46点(60点中)、受験者34117人中6764人合格(約5.0倍))

2 論文式試験
 その年の短答式試験合格者が受験できます。7月20日ごろ2日間かけて行われます。
 憲法・民法・憲法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の6科目について、各科目2時間で2問ずつ。1問につき、1000〜1500字程度の論文答案を書きます。
 事例について条文を解釈・適用して結論を導かせる問題(事例問題)や、制度を整理・比較させる問題(一行問題)が出されます。構成力・表現力が求められます。
 事例問題では、どの条文や論点が問題となるかを抽出した上、論点では理由とともに自分の採用する説を示し、その立場からの帰結を示していきます(説が分かれる以外は、数学の証明に似ています)。
一行問題では、趣旨など制度を整理・比較する一定の視点を示し、各制度を紹介していきます。(平成13年度は、1024人合格(約6.6倍))

3 口述式試験
 その年と前年の論文式試験合格者が受験できます。
 10月下旬の4日間で行われます。
 憲法・民事系(民法・民事訴訟法)・刑事系(刑法・刑事訴訟法)の3科目について、受験生1人ずつ部屋に呼ばれ、口頭で質問に答えていきます。憲法は15分、民事系・刑事系は30分程度です。
 単なる面接ではなく、基本的知識と未知の問題に対する対応力が問われます。
 (平成13年度は、990人合格(約1.1倍。前年度の論文合格者も受験するため))
 口述式試験に合格すれば、最終合格となります。

勉強の内容
 憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法(いわゆる「六法」)について、その条文の内容・解釈上の論点を勉強していきます。
 条文:法律学の基礎となるものです。もちろん、文章を全部丸暗記するというものではありません。どういう場合にどの条文が適用されてどういう結論になるのか、という制度の内容を理解しておく必要があります。ただ、民法の財産法や商法は、漢字とカタカナを使って文語体で書いてあるので、慣れるまでは読むのも大変です。
 解釈上の論点:条文には抽象的表現が用いられていて、具体的意味がはっきりしない場合があります。また、現実に起きることは多種多様なので、条文をそのまま適用できない(あるいは不当な結果となる)ケースも起こります。そういう場合のために、条文の「解釈」が必要になります。条文解釈では論理的一貫性(例外が少ないこと)や結論の妥当性が要求されますが、両立できないことも多く、どちらを重視するかによって学説が対立します。また、何が妥当な結論かについても意見が分かれることがあります。こういったものを、解釈上の論点といいます。

私の受験対策
 司法試験予備校を利用するのが一般的ですが、私の場合も、予備校を利用しました。
まず、1年目は、各科目の体系と基本的論点について講義を受けました。1回3時間の授業を週3〜4回程度受けました。それと併行して、短答式の過去問も解いていきました。
2年目は、論文式の過去問の解説や論文の書き方についての講義を受けました。また、それと併行して、論文答案を実際に書いて添削を受けるという答案練習会(略して「答練(とうれん)」と呼ばれます)も受講しました。そして、短答式試験の直前には、模試を受けました。
そして、3年目以降は、答案練習会(論文)と模試(短答)を受講し、弱点補強をしていきました。

1日の勉強時間は、はっきり覚えていません。特に決めていませんでした。なかなか疑問が解決せず長い時間勉強した日もあれば、ほとんど勉強しない日もたまにはありました。
ただ、講義受けたときはその内容を自分なりに消化できるまで復習・暗記し、答案練習会の前には、該当範囲のテキストを一通り見なおすようにしていました。
また、答案練習会の後は、添削された答案をもとに、書けていなかったところは徹底的に復習しました。ここでは論点などについて自分で納得できるまでテキストなどを調べて、次に出されたらこう書くという自分なりの「ひながた」を作りました。大変でしたが、これによって理解が深まり、力がついたと思います。
悩まされたのは、論文には「正解」というものがなく、採点基準が分かりにくいということでした。
特に、勉強し始めのころは、自分ではうまく書けたつもりでも、添削での評価が低いということが多々ありました。どこで誤解していたのかは、添削のコメントだけでは良く分からないことが多かったです。

 そのほか、受験生同士で「自主ゼミ」を組んで、答案練習会で書いた答案を互いに検討し合いました。
問題文の分析の仕方や答案での表現方法を話し合うことができ、参考になることが多かったです。また、雑談は良い気分転換になりました。

 このようにして、本格的に勉強を始めて3年半、3回目の挑戦で合格することができました。

おわりに
 合格した今でも、司法試験は難しい試験だと思っています。それは、勉強の内容もさることながら、勉強の仕方のほうです。勉強の仕方についてはいろいろな情報が飛び交っており、その中で自分に合った勉強法を見つけるのが難しいのです。これから受験を目指される方は、よく考えずに人のまねをしたり情報に惑わされたりしないで、冷静に自分にあった勉強法を探すように心がけてほしいと思います。

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