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◆個人特訓教室 メールマガジン◆
「 Person to Person 」
No.30 2003.10.8 ためになる教育マガジン
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http://tokkun.net
◎コツコツやって30号!◎ magazine@tokkun.net
●教育コラム・・・・・・・・・・・・・・・『理念先行の危うさ』逢坂喜郎
●先生の読書・・・・・・・・・・・・・・・・・ご父兄向けおすすめ本特集
●教科の窓・・・・・・・・・・・・・・『月に残る日本のガリレオ』光岡誠司
●ショートユーモア・・・・・・・・・・・・・・『8・9月スットコ君大集合』
●“おすすめ本”プレゼント
●お知らせ
●アンケートご協力のお願い
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◆ごあいさつ◆
やっと秋らしくなりました。この時期になりますと、各学校の入試要項は確
定しています。しかし、この数年は学校も大きく変身し、年を追うごとに入試
制度も複雑になってしまい、生徒はもちろん、我々塾講師も情報収集にはまっ
たく気が抜けません。
公立なら平気だろう、な〜んて訳にもいきません。知らずにいると大変です。
あの“校長土下座要求事件”はごく普通の公立小学校のできごとでした。卒業
式当日、屋上に国旗を掲げた校長先生を一部の児童が取り囲み、「土下座」を要
求したとされる3年前のあの事件ですが、その真相を当事者がまとめたショッ
キングな本が先日出版されました。そこからわかるものは…
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◆教育コラム◆
『理念先行の危うさ』 逢坂喜郎
文教都市・国立での「土下座要求事件」当時の教育長石井昌浩氏が、なんと
現職という立場のままで、事件のいきさつについて明らかにした『学校が泣い
ている(扶桑社)』が先般出版されました。このような形で、児童を含めた一連
のやり取りや教職員集団の教育に対するかかわり方などを公にしたのは例外的
な出来事です。
長年にわたり国立市では「子ども中心主義」の理念のもとで、人権教育・平
和教育・ジェンダーフリー教育などの「進歩的」取り組みが行なわれてきまし
た。確かに子どもが主体的に考え、意見表明すること自体は悪いことではあり
ません。でもそれが過度な権利意識を育て、政治的に偏った教育が行なわれて
いたとしたらどうでしょうか。
たとえ国旗・国歌を好ましくないものと考えたとしても、子どもたち自身が
自らの判断で「土下座要求」するのはあまりに不自然です。これを子どもの意
見表明として肯定的にとらえる大人がいたということは何を意味しているので
しょうか。また国立市は中学生の不登校の数が東京都で一番多く、全国平均の
二倍にも上るということは一体何を意味しているのでしょうか。
国立市は「新左翼の解放区」と言われています。体罰や学級崩壊をマスコミ
に公表するような管理職は、教員の身分を危うくするものとして裏切り者扱い
され、つるし上げにあうそうです。一方、ジェンダーフリー教育の一環として
男女混合名簿が全国に先駆けて導入されたり、権威を徹底的に否定するために
卒業証書授与式が排除されたり、強い党派性を感じさせる教育が行なわれてき
ました。
詳細な情報は公にされず、教育内容に関するチェックは一切行なわれず、閉
鎖的な環境の中で一部の教員が主導する反権力を旗印にした過激な教育理念が
実践されてきたといえるのです。教育委員会の職員が学校に来るのは、監視で
あり、昔の特高警察と同じだから教室には入れない。校長の授業視察は、管理
体制の強化のためだから教室には入れないそうです(都議会議事録)。石井氏の
著作はそのような教育行政に風穴を開ける画期的なことだと思います。
公教育として税金で運営されている以上、偏向教育は論外ですし、それを包
み隠すような理念先行型の教育論争は無意味であるどころか有害です。個性を
育てるという教育目標は、言葉は美しいですが評価のしようがありません。少
なくとも将来の社会の形成者として要請される基礎学力を身につけさせること
が何より大切で、それが定着しているかどうかを数値として公表することによ
ってはじめて、納めた税金が適正に使われているかどうかを正当に評価できる
のだと思います。
理想論だけで教育を語ることに胡散臭さを感じるのは私だけでしょうか。理
念先行の教育がもたらす弊害は次々と明らかになっています。教育の荒廃が叫
ばれる昨今、理念に酔うのではなく、公教育の中で子どもたちが何を身につけ
ることが出来るのかを具体的に語るべき時ではないのでしょうか。
y.ohsaka@tokkun.net
◎国立のある学校では、日の丸の赤は血の色、白は骨の色と教え、紅白の幕は
日の丸を連想するからだめ。運動会での玉入れは、紅白の玉の代わりに青と黄
色の玉入れをさせたそうです。
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◆先生の読書◆
●ご父兄におすすめの本●
◎読者の方からご両親におすすめの本の紹介をというリクエストを以前いただ
きました。プレゼントも付けて、教育に関係するものという限定で、講師陣に
選んでもらいました。
★坂千代先生
●『「甘え」の構造』土居健郎著 (弘文堂 1,500円)
この本は精神医学者でもある筆者が留学や長年のカウンセリングの経験をも
とに日本人の精神構造に深く関わっている「甘え」について書かれた本です。
筆者は、現代が甘えで充満している時代、言い換えれば、皆子供っぽくなって
いる。大人も子供もなく、男も女もなく、教養があるもないもなく、東洋も西
洋もなく、すべての差別が棚上げされて、皆一様に子供のごとく甘えているの
は、人類的な退行現象だが、新しい文化を創造するためには必要なステップか
もしれない。そしてそれは一つの時代が終わり新しい時代がはじまるしるしで
あると考えている人が多いが、本当のところは誰にもわからない。そう書いて
います。これから先の我々の生活を含む日本の未来について、わからないから
こそ考える必要があるのだと強く考えさせられた本です。
★伊藤先生
●『行儀よくしろ』清水義範著 (ちくま新書 680円)
教育論エッセイです。学校教育に留まらず、我々大人や社会がすべき教育と
は何かを語っています。教育とは『文化を次世代に伝えることである。現在必
要な教育とは文化の崩れを修復することである』『日本の文化を守り、身につけ
た人は美しい。また、美しく見える生き方をしている人は誇りを持つべきだ』
と論じています。若者に対して著者は公平な目で見て、具体的な事例を挙げ、
分かりやすく書かれています。『子どもに本を読ませたいと思う前に、自分自身
は本を読んでいますか?』そのように問い掛ける著者の言葉が、現在の教育の
崩れを象徴しているように思われます。肩肘を張らずに、ときにドキッとしな
がら読み進められる、おすすめの一冊で、先日NHKの週間ブックレビューとい
う番組でも取り上げられていました。
★中田先生
『受験に強い子をつくる!』和田秀樹(ベスト新書 780円)
精神科医であり、受験技術研究家としての顔をもつ著者が、やがては受験を
むかえる子をもつすべての親御さんに向けて書いた本です。ゆとり教育で学力
が低下する一方で、社会における競争は確実に激しさを増しています。その中
でいかに子どもを「勝ち組」に導いていくかの必勝術を、現代の入試事情を踏
まえた上で具体的に指南しています。灘中では劣等生で過ごしたものの、高2
で最小限の努力で最大の効果を生む独自の学習術を編み出し、東大理科V類に
現役合格を果たした著者の方法論は非常にわかりやすくためになります。
◎まだ何冊もあるのですが、このコーナーが長くなりすぎますので、メルマガ
の一番後ろに付け加えました。それらもプレゼントの対象です。ご覧下さい。
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◆ショートユーモア◆
『8・9月スットコ君大集合』
◎先月号ではスットコを一つだけしか使いませんでしたので、ネタがたまって
しまいました(^_^)v。さぁさぁ、最近にない迫力でまいります。どうぞぉ〜。
★NO PROBLEM!★
生徒『先生、最近受験太りしちゃいましたよ』
先生『そうか、何キロ増えたんだ?』
生徒『はい、5キロです』
先生『また随分と増えたな。で、何キロになったんだ?』
生徒『105キロです』
先生『全く気にする事はないぞ、うん』
*日直(本人は悩んでいるのでしょうか?食欲の秋ですが…)
★HEADHUNTING★
先生『ヘッドハンティングって知ってるか?』
生徒『あ、知ってる、知ってる』
先生『お、そうか、言ってみろ』
生徒『え〜、例えば、将来僕がここの塾で働いていて、すごい先生になると…』
先生『あ〜』
生徒『もっとすごくてでっかい塾からぁ…』
先生『悪かったなあ!でっかくなくて!』
*日直(このあと生徒は『いやいやそういう意味じゃなく〜』なんて一生懸命
弁解していましたが、先生は『失礼なやつだ』と怒っておりました(笑))
★COMBINATION★
生徒『先生、またジーコジャパン負けちゃったね』
先生『ほんと!お前の英語と一緒』
生徒『得点力不足!』
先生『その通り』
*日直(前のお二人に比べれば、このお二人は、絶妙のパスワークです)
★JAPANESE HISTORY★
日本史を受験科目に選んだI君のコメント。
『先生!二学期からニホンシュ取りたいんですけど』
*日直(当教室では取り扱っておりません)
★ALCOHOL★
先生も講習会で疲れがピークです。ついに「エスカップ」を買ってきました。
それを見た生徒、
『あ、ワンカップじゃん』
*日直(確かにワンカップの方が効く講師もおります)
★NIIGATA★
生徒『だって、北陸地方ってどこなんだかよくわかんないんだもん』
先生『テレビでしょっちゅうやってんじゃないですか。
万景峰(マンギョンボン)号が来るって』
生徒『あ〜、え〜と、羽田?』
先生『は、羽田?スットコに書かれますよ』
*日直(よくいらっしゃいました)
◎ホントに次から次へとよく出て来ますねぇ。年間ベストスットコでもやりま
しょうか。いかがでしょう? http://tokkun.net/2002-10/kokuban.htm
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◆教科の窓◆
◎地味ですが、根強い支持をいただけるこのコーナー。ありがたいことです。
今月は光岡先生がこんなすごい日本人学者を紹介してくれます。
『月に残る日本のガリレオ』 光岡誠司
依然として火星が見えます。日々勉強、仕事で忙しい人も、空を見上げロマ
ンチックな気分に浸るのですが、何万年に一度の火星の大接近を正確に予言で
きることだけでも、宇宙物理学というのは途方もなく進歩したものだと驚嘆し
ます。ガリレオ、ニュートン、アインシュタインなどのおかげですね。
実は日本にも、江戸時代、上に挙げたビッグネームに勝るとも劣らぬ偉大な
天文学者がいたのです。麻田剛立(あさだごうりゅう)です。残念ながら麻田
は、暦についての著作しか残しておらず、その名をご存知の方は少ないかも知
れません。というのも当時、天文学の目的はただ、農民のために正確な暦を作
るためだけの作業に過ぎず、正当な学問とすら見なされていませんでした。そ
れにもかかわらず、なんと麻田は本職である医者をやめ、脱藩という大罪を犯
してまで、天体の研究を続けたのです。
幕府の暦に載っていない日食を予言、的中させたことで有名になった麻田は、
幕府からの招請を弟子に譲り、自分は表舞台に出ることなく、私塾を開き学問
を続けました。歴史の教科書にも彼の名は出ていないのですが、弟子たちがそ
の学問を立派に受け継ぎ、やがて伊能忠敬や緒方洪庵の適塾へとつながり、日
本の近代学問の大きな流れを生み出すことになったのです。
以前から西洋では天動説、地動説などをめぐって激しい裁判沙汰になってい
たようですが、彼は幕府の出した日食の誤りを堂々と二度修正しました。計算
によって正確に日食の日を予想したのは世界初だそうです。西洋で計算によっ
て日食が割り出されたのは150年後のことだそうですから、本来なら世界的偉
業です。ところが学問的資料がないためか、剛立はオランダ語を読むことすら
できなかったにもかかわらず、日本史の教科書には「江戸時代の暦は蘭学を学
ぶことで進歩した」などと書いてあるだけです。
さらに「惑星の公転周期の2乗は、恒星からの平均距離の3乗に比例する」
というケプラーの第3法則と呼ばれるものを独自に理解していたと言われてい
ます。この難しそうな法則はニュートンの万有引力へとつながっていくという、
現代物理学の大発見です。弟子たちの書物などから判断して、ほぼ間違いなく
麻田は単独でその法則を解明しており、日本天文学史上最大級の快挙と言って
差し支えないようです。
死後、彼の偉業は国際天文学連合によって、月のクレーターに「ASADA」
と命名されたことで一部報われました。麻田は子供の頃、太陽ばかり見ていて、
親から外に出るのを禁止されたほどだそうですから、今、秋の夜長にじっくり
天国から火星を見てもらいたいなぁと思った次第です。
◎う〜ん、江戸の学者、侮るべからずですねぇ。世界レベルじゃないですか。
できることなら教科書に加えて欲しいですね。
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◆データの杜◆
『フレー、フレー、せ・ん・せ・い!』
◎日本教育社会学会という機関をご存知でしょうか?教育に関して様々な活動
をしている、歴史も権威もある組織ですが、先月開いた学会でまたまた日本の
先生、生徒のショッキングなアンケート調査データが公表されました。
●先生『生徒指導に自信がある』●
中国:73%(調査人数700人)
英国:47%(1400人)
日本: 6%(1300人)
ちょっと、ちょっと、日本の先生、ゼロが一つ少ないんじゃないのぉ、と言い
たくなります。聞いたのは生徒指導の他、教科指導、教科の知識、学級づくり、
部活動指導の全5項目についてですが、それらについても『自信がある』は…
中国:53〜80%、英国:33〜78%、日本:8〜11%です。
「生徒指導に関して、やや自信がある」を加えると、日本は6%から55%と
およそ10倍になりますが、英国は92%、中国は98%!そりゃそうだ、まぁ
冷静に考えれば、生徒指導に自信のない残り45%の先生はちょっと…
●『家庭学習時間ゼロ』の高校生●
英国:5%
シンガポール:13%
日本:37%
今まで生徒の調査結果はいくつもご紹介しましたが、先生の方が深刻でしたね。
指導に自信のある先生ならば勉強時間は延び、学力は付くのですから。
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◆おすすめ本プレゼント◆
★今月は抽選で5名の方に、ここでご紹介した本をプレゼント致します。今月
のキーワードの欄に、上でご紹介した3冊、メルマガ末尾にご紹介している8
冊の中から、ご希望の書名をお書き下さい。入手困難な場合に備え、第2、3
希望までご記入下さい。メールアドレスと共に書名を入力していただくだけで
応募になりますので、ぜひご参加下さい。
その折、たった一言でもご感想をお書き下さい。これまでにお寄せいただいた
ご意見も、じっくり拝読し、参考にさせていただいております。
では http://tokkun.net のプレゼントコーナーへ進んで下さい。今月の締め
切りはやや早く『10月24日』です。ご注意下さい。当選者にはメールでお
伝えします。また会員専用ページには、
goukaku
で、入る事が出来ます。必ず半角小文字で入力し(enterを押すのではなく)
横にあるOKをクリックして下さいね。
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◆お知らせ◆
★その1:来月の初めにHPの掲示板部分を大きく変更します。より見やすく
活発な意見交換ができるよう工夫をする予定です。新しい掲示板も
できますので、ぜひぜひお立ち寄り下さい。お楽しみに。
http://tokkun.net
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◆アンケート(お願いと前回アンケート結果)◆
前回同様のアンケートです。以下の項目の右にあるアドレスをクリックしてい
ただくだけで投票できる仕組みです。ご協力よろしくお願い申し上げます。
(下記アドレスがクリックできない状態(青くない状態)の時は、恐れ入りま
すがブラウザにコピー&ペーストしていただけますようお願いいたします。)
●今月のメルマガでもっとも気に入ったコーナーはどれでしょうか?
(複数回答可)
1.教育コラム http://tokkun.net/merumaga-enq/answer1.htm
2.先生の読書 http://tokkun.net/merumaga-enq/answer2.htm
3.ショートユーモア http://tokkun.net/merumaga-enq/answer3.htm
4.教科の窓 http://tokkun.net/merumaga-enq/answer4.htm
5.データの杜 http://tokkun.net/merumaga-enq/answer5.htm
6.図書券プレゼント http://tokkun.net/merumaga-enq/answer6.htm
7.その他 http://tokkun.net/merumaga-enq/answer7.htm
◆9月号のアンケートにご協力をいただきありがとうございました。前回のア
ンケート結果は以下の通りです。9月号のメルマガはHP上でご覧いただけます。
*9月号メルマガでもっとも気に入ったコーナーはどれでしょうか?
第1位 優秀川柳発表:9票
第2位 教えてセンセー(勉強Q&A):8票
第2位 注目校紹介:8票
第4位 教育コラム(光岡先生:公教育の情報開示):5票
第5位 ショートユーモア:4票
第6位 読者の声:3票
magazine@tokkun.net
◎ご意見などもどしどしお寄せ下さい。ありがとうございました。
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◆編集後記&おすすめ本◆
◎本当に今年は季節外れの天候が続いてやっと落ちついたと思ったのですが、
ここへ来て、生徒の中には体調を崩す人が続出です。例年に比べ驚くほど多く
の人が体の不調を訴えています。受験生の皆さんは特に気を付けて下さいね。
決して受験のストレスを甘く見てはいけません。ストレスは免疫力を弱めます
から、健康に自信のある人でも油断できません。
油断できないといえば、今年はプロ野球セリーグで阪神が優勝しました。これ
にも驚きました(失礼)。やればできるんです、最後まであきらめない!センタ
ー試験まであと100日ですよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆《おすすめ本続きです》◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●光岡先生
『ラッセル幸福論』(バートランド・ラッセル)安藤貞雄訳(岩波書店660円)
偉大な数学者であり、哲学者で、なおかつノーベル文学賞も取っているとい
う大天才ですが、何といっても日本人が注目したのでは、アインシュタインな
どと核兵器廃絶運動、ベトナム戦争反対運動に熱心に取り組んだことと、その
時89歳で座り込みをし、警察に拘留されたという事件でした。80歳で4度
目の結婚をしたことも話題になりました。本書の幸福論は難解な哲学ではあり
ません。宗教的なものでもなく、日々の行動の中で人々が「意識的に、無意識
に働きかけること」によって誰でも幸福になれるはずだということを説いてい
ます。つまり考え方を変える“努力”次第で人生というのは様変わりするとい
うことを訴えています。何も不幸な人だけが読むのではありません(笑)。教育
論など参考になりますから、幸福な方もぜひどうぞ。何度も繰り返し読む価値
のある名著だと思っています。
●『子どもの本を読む』河合隼雄著(講談社プラスアルファ文庫 840円)
精神科医としての豊富な専門知識とあふれるような若者に対する愛情を背景
にいろんなことを教えてくれる一冊です。文化庁長官まで勤めた方ですので、
今さらご紹介するのもはばかられるのですが、本書はぜひお読みいただきたい
著作です。河合氏自身が日頃、親ごさんや特に教師に、本書で紹介された本を
読むようにと強く勧められています。教育に携わる親や教師はなぜ子どもの本
を読むべきなのか、どう読みとるべきなのか、大人と子供とは感性がどれほど
異なっているのか、一般の教育論の陥りやすい誤謬とは、などです。本書から
さらに紹介されている本へとつながっていく楽しみもあります。
●『教師 大村はま96歳の仕事』大村はま著 (小学館 1800円)
大村氏は国語教師です。クラスの生徒たちに話題を提供し、適切な読書指導
ができるようにと、生徒すべての誕生日を把握したうえで、なんと学校の図書
館の本をすべて読破したそうです。教えるものとしての気迫、職業意識がまず
桁違いですから、学級運営すべてに関して発想もすばらしい。本書の題を見れ
ば「96歳」に注目してしまいますが、内容は年齢に関係なく、あくまで大村
氏の教育理念、指導方法がすばらしいのです。氏は東京女子大出身ですが、当
時の学長は私の尊敬する新渡戸稲造で、当然薫陶を受けているでしょう。その
系譜が教育界の主流になれば、今ある問題のほとんどは解決できるはずです。
私も少しでも近付きたいと感動しました。心からお勧めできる一冊です。
★鮓谷先生
●『子どもに教えたくなる算数』栗田哲也著 (講談社現代新書 720円)
算数・数学の面白さを取り扱った書籍はいろいろありますが、本書が一番そ
れらと異なるのは、架空のA氏と小学校に通うA氏の娘に対し、算数の問題を
出題し、それを架空の親子に考えてもらいながら話が進んでいくところにあり
ます。単なる解説ではありませんので、とても分かりやすく、A氏が考えてい
くのと同じように、読み手も考えていけます。また、中学受験で出題されやす
い問題を例にとり、一般的なパターン的解法ではなく問題を別の方法でイメー
ジすることにより切り口を変えて解答を導いていきますので、我々学習塾の講
師でもそうか、この手があったかと思わせられます。中学受験の算数にも役に
立つこと請け合いです。是非、この中の問題をお子さんと一緒に考えてみて欲
しいと思います。
★伊藤先生
●『父性の復権』林道義著(中公新書 699円)
この本が出版され『父性』なる言葉が巷で耳にすることが多くなったような
気がします。『父親』でなく、何故『父性』なのか?ユング心理学者である著者
は、この父性の欠落が、子供に対して、社会性の確立、心理的発達に大きく影
響を及ぼすと述べています。しかし解釈の仕方は人それぞれであり、本書に対
しての賛否両論も繰り広げられたようです。書かれている内容は、難しくなく、
なるほどと思わせるところが随所に見られます。もし、著者の主張することが
全て正しいとすれば、現在、子供の教育に関する様々な問題点の多くは解消さ
れるであろう、とも思われるはずです。皆様方と、著者との考えは相容れるも
のでしょうか。一読された後に、比較し、判断してみても面白いのではないで
しょうか?
★逢坂先生
●『学力は家庭で伸びる』陰山英男著(小学館 1,050円)
百ます計算でおなじみの陰山先生の家庭教育書です。小学生のお子さんがいら
っしゃる方には是非お薦めしたい一冊です。教育書と申し上げても、何も難し
い特別なことを提言しているわけではありません。「宿題は食卓でさせる」や
「リビングに図鑑を置く」など日常的な工夫が語られています。陰山先生の考
えでは学習は生活に密着したものだそうです。私も読んでみて小学生の指導に
関してかなり勉強になりました。
●『なぜ教育論争は不毛なのか』苅谷剛彦著(中公新書ラクレ 760円)
ゆとり教育対詰め込み教育の論争は不毛である。このように言い切る東大教授
苅谷氏の議論です。2002年12月の文部科学省の全国学力調査という、言
わば公式見解が発表されたことによって、現実問題として学力低下は起こって
いるとした上で、今後の教育の論じ方として、「ゆとり」か「詰め込み」かの観
念的な論争をまず止めるべきだと提言しています。氏が述べているのは、納税
者から見て、教育という事業のどの部分に予算が配分され、その結果どのよう
な成果があったのか、あるいはなかったのかをきちんとデータに基づいて検証
する必要があるということでした。教育論は何冊か読んだことがありますが、
本書のように教育の論じ方に焦点を当てたものは初めてです。教育に関する最
近の論点を整理するうえでもとても勉強になりました。是非お薦めしたいと思
います。
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